ちりあくたのつぶやき

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ドラマ『九条の大罪』1話感想・解説|原作との違いは?烏丸(松村北斗)の役割と「ぬるい」改変の賛否(※この記事はネタバレありです!)

 ※この記事はネタバレありです!

 

 真鍋昌平原作漫画を、Netflixがまさかのドラマ化。主演柳楽優弥。

チャッピー君、漢字が違うのですが…

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原作と比較した、烏丸の役割の変化

 この記事では第1話「片足の値段」を原作と比較して解説します。

 

 まず、九条の元で働く「イソベン(居候の弁護士)」烏丸真司(松村北斗)だけど、原作では既に九条の事務所で働いているのですが、ドラマ版では九条に会うという形になっている。

 

 つまりここは烏丸は視聴者であり、彼の眼を通して作品世界に入っていくという訳。法律の解説役も烏丸が務めているのはわかりやすい。

レギュラーメンバーとこの事件の加害者の登場

 で、事件が起きて反グレのリーダー壬生憲剛(町田啓太)が九条に依頼して来る箇所は同じなんだけど、原作では加害者が人を轢いてしまった恐怖で打ち震えているのに対して、「あー、やっちゃったー、どうししょうかなー。あ、そうだ!壬生君にお願いしよう」くらいの、本当にどうしようもないキャラクター造形になっているのはいい(ヒドイけど)

九条の本領発揮

 そしてここからが九条の本領発揮のシーンで、彼は「とにかく20日間完黙するように」と告げ、「依頼人の人権を守るために」全力を尽くして彼を執行猶予つきの禁固刑、つまり実質的な無罪を勝ち取る。

視聴者に対する告知と「教育」

 この第1話でこれからはっきりと、どういう話をしていくのかを明確に示している。寓意は「法律なんて所詮人の作り上げたもので、いくらでも抜け道があり、不条理や理不尽は決して無くなりはしない」というもの。

 

 それを、こちらに疑似体験させ痛みを与え、現実に対する認識を変容させるという「教育」を読者は受ける訳だ。

有罪か無罪のグレーゾーン、「陪審員2番」

 たしかに、飲酒運転による危険運転致死なんだけど、事件現場を調べると二人の被害者(父と息子)のうち、父親の方は実は心臓に疾患があった為に心臓発作で倒れ、その後で車が可能性がある。ここの「心臓疾患のグレーゾーンが被害者の死亡原因になる可能性を巡る法廷議論」というグレーゾーンに関しては、クリント・イーストウッド監督の傑作「陪審員2番」でも似たような言及がされている。

原作の改悪(だと私は思っているぬるい描写)

 原作と違って、はっきり言ってぬるい改変箇所が後半にあり、轢き逃げで生き残った息子(片足を切断されている!)と母親に対して、NPO法人のソーシャルワーカー薬師前仁美(池田エライザ)が九条から母子に保険の再申請をするように取り計らう箇所。

 

 この救済描写は、原作が持っていた“観る側を突き放す冷酷さ”を弱めてしまっているため、テーマの鋭さを損ねているように感じる。もっと見る物を突き放していいと思いましたね。母親は原作では涙を流すシーンは見せず、憔悴と怒り・悔しさ・無念と悲しみが混じった様ななんとも形容しがたい表情で終わった方がよかった。

 

 おそらくは原作の突き放す冷酷さを弱め、視聴者への感情的救済を優先した判断なのでしょうけど、せっかく地上波ではなくNetflixで配信するのだから、こちらの背筋を凍らせたままでよかったかなと。

柳楽優弥の完璧な演技

 九条役の柳楽優弥は完璧に仕事をこなしていました。彼が画面のこちらに向かって冷笑や挑発的な言動とかしたらどうしようかと思っていましたが、そんなことはなく淡々と九条を演じ切り、九条というキャラクターを完全に理解しているのがわかる。

 

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ザ・ボーイズ ファイナルシーズン 第1・2話感想(ネタバレ)|Aトレインがようやくヒーローになった瞬間と現実の全体主義

 ※この記事はネタバレありです!

 

 4/8から配信が開始されたファイナルシーズン。今のところ配信されているのはエピソードは2まで。ファイナルなので、風呂敷を包みに来ている感があります。

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 現実の醜悪な部分を戯画化し、誇張した本作。2019年からファーストシーズンが始まり、今年にこのファイナルシーズンが始まりましたが、ご存じの様に現実世界そのものがまるで何かの悪夢を見ているかのような状況になってしまいました。

 

 起きていることそれ自体は歴史の繰り返し(トートロジー)で、第二次世界大戦後80年も続いてしまった平和という「異常な状態」によって「認知が歪んでしまった」我々には異常に見えるだけではある。実はこの現状こそが世界のデフォルトで、ドナルド・トランプや高市早苗の出現によってそれが暴露されただけ。もちろん当の本人たちはそんなことを自覚的にやっている訳では無いのですが…

 

 このファイナルシーズンは、どちらかというと現実をなぞっている感があり、アメリカが全体主義的な国家になってしまっているのも、ファーストシーズンでホームランダーが行った凶行が暴かれても、フェイク動画であるとされ本人に大したダメージを与えていないのも現実の写し絵。

 

 これが、アーノルド・シュワルツェネッガー主演の「バトルランナー(古ッ!)」であれば違ったのでしょうけど。

 この2つのエピソードでいいシーンはAトレインが本当にようやく最後でヒーローになったところでしょう。前のシーズンで人を助け、それによって満たされることを知るんだけど、それまでに彼はあまりにも人として劣化した振る舞いを続け、その両手は血でベッタリ汚れている。

 

 でも、本当に最後にホームランダーに向かって「お前は力が強いだけで中身はからっぽだ!」としっかりと目を見てホームランダーを罵りながら殺される。まさか彼に痺れる日が来ようとは!

 

 このシーン、「ジョジョの奇妙な冒険第4部ダイヤモンドは砕けない」で、広瀬康一が今にも死にそうなのにまったく臆することなく殺人鬼である吉良吉影に対峙したシーンが重なりましたね。

 

 正直、現実のえげつなさによって作品のパワーは減衰していると言わざるを得ませんが、最後まで見届けます。

Netflix映画「猛襲」ネタバレ感想|ハリケーン+サメのサバイバルスリラーは「クロール -凶暴領域-」に勝てず?

 ※この記事はネタバレありです!

 

 Netflixで配信されている、サバイバルスリラー映画です。監督は「処刑山 -デッド・スノウ」のトミー・ウィルコラ。

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災害パニックとモンスターパニックものであるという予告

 災害パニックものは、襲い来る災害によって登場人物を追い詰めることで物語の推進力(ここでは「観客をハラハラドキドキさせる力」とでも言いましょうか)が増す訳だけれども、公式の予告の時点で「海辺の町を飲み込む凄まじいハリケーン。高潮によって破壊され混乱に陥った町を襲うさらなる脅威―それは血に飢えたサメだった。」等と告知してしまっている。最初は期待していたんですけどね。

物語の軸は2つ

 物語の軸は2つ。まず、母親を亡くしたことが原因なのか、不安障害を抱えているダコタ・エドワーズ(ホイットニー・ピーク)が、ハリケーンの接近が迫っている街に取り残されるというか、災害の規模を侮っていた為に自宅に閉じこもるを得ない状況になっている。

 

 そこに、彼氏に逃げられた、食肉工場に勤めている妊婦のリサ・フィールズ(フィービー・ダイネヴァー)の話が絡んでくる。

 

 2つ目の軸は、ダメな養父母に冷遇されている3人兄弟「ディー・ロン・ウィル(アリラ・ブラウン、ステイシー・クラウセン、ダンテ・ウバルディ)」のエピソード。

 

 この養父母だけど、壁に銃が数丁掛けられているので、「トレマーズ」のガンマニア夫妻を思い出す人もいるでしょう。

尺が短いが故の「話が早くて助かる」展開

 上映時間がエンドロールを除くと1時間20分くらいしか無いので、とにかく「話が早くて助かる」展開になる。まず、ハリケーンによって堤防が決壊し、津波が遅いその影響で食肉のミンチを詰め込んでいるタンクローリーのタンクが破裂して肉が水中に飛散。その血の臭いを嗅ぎ付けてサメがやって来る。

 

 ダコタがリサと合流する前も非常にわかりやすく追い詰められていて、リサが車の中に閉じ込められ、シートベルトが外れなくなる。いわゆる「カモォーン!(外れてよ!)」状態。で、それを発見「してしまった」ダコタが自身の不安障害という「殻を破る」シーンになるんだけど、こんなことでメンタルが復調するのか非常に怪しいシーン。

 

 3兄弟の話になると、家に閉じこもっていれば安心だという養父母は案の定襲われてモグモグされる。もちろんここは観客の共感を呼ばないキャラクターをヒドイ感じで殺してしまうことでカタルシスを与えるシーンなんだけど、観客サービスとして機能している部分もあるが、雑に感じました。

 

 3兄弟の話は、普通地下室に銃が掛けられているのを映している以上、「チェーホフの銃(画面に出る物は意味があって映している)」にのっとればその銃でサメを攻撃しそうなものだけど、それをしないのはいかがなものかと。

 

 で、ダコタとリサの話に戻すけど、リサが妊娠していて今にも生まれそうなのはもちろん物語の推進力を増すためなんだけど、本当にもうそれだけの理由でリサを妊婦と言う設定にしている様にしか見えない。

 

 もちろん最後には2つの物語のキャラクター達はそれぞれ「反転攻勢」をして、事態は収束し、めでたしめでたしで物語は終わる。

同じシチュエーションと上映時間の傑作「クロール -凶暴領域-」との比較

 見ている間じゅう、同じ要素を持った映画、災害パニックとモンスターパニックを併せ持ち、そこに登場人物の関係の変化と主人公の過去の清算までを描き切り、さらにほとんど同じ上映時間でそれをやってのけた「クロール -凶暴領域-(原題:Crawl)」とどうしても比べてしまうんですよね。

 

 

 「クロール -凶暴領域-」のロッテントマトスコアが現時点で批評家84%、観客評価75%。対する本作は現時点では批評家のみ(観客評価はまだ50件未満)ですが40%しかないところから見ても本作は失敗していると見做さざるを得ませんね。4/10の週末に配信されているのに見てもらえてすらいないのはかなりまずい。

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 B級のサメ映画好きなら気軽に楽しめるが、「クロール」クラスの内容を期待すると肩透かしを食らうかも。

 

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映画「スペースバンパイア」感想|Amazonプライムで吹替追加!カルト映画の魅力を解説【ネタバレ】

 ※この記事はネタバレありです!

 

 なんかXの一部界隈で、「あのスペースバンパイアがAmazonプライムビデオで配信されているが、日本語字幕も吹替えも無い!」と騒いでいるので視聴。そういえば日曜洋画劇場で何度もコスられていたなくらいの記憶しかありませんが。

※5月現在、当初は字幕も吹替もなく一部で騒がれていた「スペースバンパイア」ですが、いつの間にか吹替が追加されていました。

geminiにサムネイル画像を描いてもらいましたが、なんか漢字がおかしい…

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 なんか冒頭調査の任務を帯びた宇宙船がある宇宙船に侵入したら、そこにはなんと怪物がいました!展開まんま「エイリアン」やないかい!と思って調べたら脚本が「エイリアン」のダン・オバノンだから当たり前と言えば当たり前。

 

 「エイリアン」と違うのは、この異星人達(バンパイア)が地球に降り立ってしまうところ。もちろんこいつらによってとんでもないことにはなる。何故かロンドンだけがw

 

 まあバンパイア達が運ばれたのがロンドンだからだし、なにしろ映画の尺が1時間40分しかない。エンドロール5分を引くと1時間35分以内で話の決着をつけなくてはならないので、「話が早くて助かる」みたいにならざるを得ないのは理解できます。

 

 そして、本作のウリのひとつであろう「官能」ですが、マチルダ・メイさんがそこを一手に引き受けています。正直ここまで頑張ってくれたのだから報われて欲しいですが。男形のバンパイアも出て来ますが、イケメン揃いで淀川長治さんは内心どう思ってみていたのでしょうね。

 

 本作のウリその2ですが、バンパイアに生気を吸い取られた人間が今度はバンパイアになる特撮。1980年代における特殊メイクの一流の仕事が堪能できます。

 

 そこで気になったシーンがあって、バンパイアになってしまった人間をストレッチャーに乗せて拘束しているんだけど、なんか検査みたいなことをするシーンがまんま1985年のゾンビ映画「バタリアン」に酷似していてここでもまたダン・オバノン関連というか。まさかあのバンパイア「オバンバ」の流用じゃないよね?

 

 「バタリアン」も現在、Amazonプライムビデオで配信されています。未見の方はもちろん、本記事を読んで再確認したくなった方もぜひチェックしてみてください(2026年5月時点の情報です)

 

  「ブレイーン!(脳みそをくれー!)」

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 もうひとつのウリは音楽。ヘンリー・マンシーニさんという方が担当しているのですが、この方「ティファニーで朝食を」等を手掛けている巨匠なんですよ!アカデミー賞もゴールデングローブ賞も受賞しているのに、なんでこんな妙ちくりんな映画の音楽を担当しているんだろう?

 

 どうもこの作品の魅力は、過剰なまでに詰め込んだネタを、一流の職人達が関わることによって引き起こされるパワーにあるみたいです。原題がなにせ「Lifeforce(生命力)ですからね。

 

 ですがというか、本作の評価は厳しくて、ロッテントマトスコアは批評家58%、観客評価46%と芳しくない。やはり一部の「好事家」にしか刺さらなかったんでしょうね。興行収入もさんざんだったみたいですし。

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【ネタバレ考察】映画「ウォー・マシーン: 未知なる侵略者」|プレデター×デスゲーム風アクションのラストがきな臭すぎる件(アラン・リッチソン主演)

 ※この記事はネタバレありです!

 

今回の映画を見た理由

 「世界情勢鬱展開」の為、あまり重たい映画を見る気力が無いので、軽く見られそうな作品がNetflixにあったので視聴(日本国内では劇場公開されずに配信スルー)

今回はGrokにサムネイル画像を描いてもらいました。似せていないところがポイントです!

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 アメリカの軍人が主人公やないかい!と、自分に対してツッコミたくなりましたが、話の展開自体は「政治」が絡んでいませんでした。主人公がどこかで見たことあるなと思っていましたが、「リーチャー 正義のアウトロー」で主演を務め、肉体派スターとして近年ブレイクしているアラン・リッチソンでした。

ざっくりとした内容

 内容をざっくり説明すると、「プレデター(初代)+デスゲーム」ものです。アフガニスタン従軍時に、共にレンジャーになると誓った弟を戦死させてしまう主人公「81(名前はあるんだろうけど、物語を通してこう呼称されているので)」が、弟との約束を果たす為にレンジャー訓練を受け、最終試験へと乗り込むのだが、そこでなんと意外な敵と遭遇し、彼は自身の「未清算の過去」と向き合わされるといったもの。

レンジャー最終訓練から物語が動き出す

 レンジャー訓練を受ける兵士たちは、訓練中は名前を奪われ番号だけで呼ばれ、次々と脱落していくんだけど、その展開がちょっとデスゲームっぽく見える。

 

 で、最終試験が始まり、それまでリーダーに任命されることを断っていた81だったが、上官の命令という形でリーダーを任されることになる。

 

 そして、なんとそこでこの映画のタイトルにもなっている、「ウォーマシーン(そう呼ぶしかない存在、ちなみに、「アーマードコア」出て来るMTにそっくり!)」が出現し、試験を受けている隊員はてっきり訓練の一環かと思っていたら、実は正体不明の敵に突然襲撃を受けるという状況になる。

主人公が向き合わされる「未清算の過去」

 このシチュエーション自体が、81が過去に経験した弟を死なせてしまった戦場と一緒で、再演させられ「試される」

 

 かなりわかりやすい展開があって、そのウォーマシーンによってコンパスが効かなくなり方向がわからず、襲撃で無線が破壊され、ウォーマシーンから逃げるために武器を捨てざるを得なくなり、81が率いる部隊は徹底的に追い詰められる。

 

 登場人物が追い詰められると物語の推進力は上がっていくというのは、アメリカ映画の脚本ではお約束で、まあ手堅い展開と言えば手堅い。しかも、最初の襲撃で副リーダーの「7(黒人)」が足に重傷を負ってしまったので、彼を担架で担がねばならないというおまけつき。

 

 私的には7が担架で運ばれる時点で、「あ、こいつは助かるな」というのがわかってしまいましたね。

ついに自己開示する81

 訓練を仕切っている基地まで行けばなんとかなる筈だと、一行は逃走しウォーマシーンは追い詰める。基地に到着したはいいが、そこは既にウォーマシーンの襲撃で壊滅状態。困り果てた一行。だが81は諦めずになんとかしようとしているところを、「俺たちはあんたみたいな英雄じゃ無いから、そんなに冷静に行動できないんだよ!」と激高された81がここで「殻を破る」。どういうことかというと、彼は「自己開示」をする。

 

 81によれば、襲撃を受けたあと、弟を担いで基地まで逃げ切った英雄としてシルバースター勲章という栄誉を授かったけど、本当は基地の手前までしかたどり着けずに意識を失ったのが真相であったと。

 

 何故軍部は81に勲章を授けたのか?それは襲撃を受けたという失態を糊塗する為に、こういった場合には英雄という存在が必要だから。

劇中でいちばんのアクションシーン

 基地で拾った装甲車による逃走劇はかなり見ごたえのあるアクションシーン。81達も逃げながら反撃し、スリリングな描写もあるが、ここで81一行は彼と「7」を残して全滅する。

 

 この、81と7しか残っていない状況が、要するに過去のアフガニスタンでの襲撃後に瀕死の弟を担いで運んだ時とまったく同じ状況で、とにかく主人公を徹底的に追い詰める、「今度はお前上手くやれるんだろうな?」と。

 

 7はそこで81を励ますんだけど、7が黒人と言うことも相まって多少「マジカルニグロ(白人にとって都合のいい黒人のメンター)」感はある。

 

 そして、81は体の内側から力が沸き上がり、序盤の採石場の伏線が最終決戦場となる「反転攻勢」の展開。

最終決戦へ

 ウォーマシーンの弱点らしき箇所を発見していた81が、ブルドーザーと石を運ぶベルトコンベアを駆使して遂にウォーマシーンを破壊。ここで、倒した筈のウォーマシーンから大量の爆弾が転がって爆発し巻き添えを喰らわそうとする、「プレデター(初代)」とデジャヴすら感じるシーンがある。

このお話の本当の「ゴール」と、最後に突如立ち上がるプロパガンダ臭

 このお話のゴールだけど、ウォーマシーンを倒すことではなく、あくまでもレンジャーとしてゴールラインを踏むことだったりする。最後はもちろん目的を達成。上官にも認められるんだけど、ここからなんかきな臭いというか、アメリカ軍のプロモーションビデオっぽいテイストになる。

 

 どうもあのウォーマシーンは複数存在し、世界各地で戦いが繰り広げられているから、81が実戦で見つけたウォーマシーンの弱点と戦闘経験を生かして戦闘に再び加わって欲しいのと、相手の戦力に気落ちしている隊員を励ます為に演説して欲しいと頼まれる。

 

 なんだろう、あのウォーマシーンが「理解し合えない他国の人間」みたいに見えてしまい、「そいつらに立ち向かう我らがアメリカのレンジャー最高!」みたいな感じに見えてしまったのが、やっぱり「世界情勢鬱」のレンズでこの映画を見てしまっている自分に気が付きましたね。

 

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【ネタバレ感想】映画『雪風 YUKIKAZE』ひどすぎる!令和価値観の押し付けとラストの第四の壁破りが最悪

 ※この記事はネタバレありです!

 

 人に勧められて本作を見たのですが、その人が勧める時に若干失笑ぎみだったので悪い予感というか、だいだい予想はしていましたがまあひどかったです。私は戦争には反対ですが、こんな映画では反戦映画としては機能していないと言っていいと思います。

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 大まかな内容としては、太平洋戦争の中を生き抜いた駆逐艦「雪風」の乗組員達を描いています。

 

 もちろんみなさんご存じのとおり、日本は太平洋戦争に「突入していしまい」ボロクソに敗けたんですけど、本作はその展開自体はサイドプロットみたいなもので、雪風の乗組員がその中で生き抜いていくという展開に軸が置かれている。

 

 いるんだけど、登場人物のメンタリティが明らかに令和の日本人のそれなので、良くも悪くも昭和の大日本帝国軍人にはとても見えなかったりします。

 

 戦争が進行していくのは地図を使ったナレーションでざっくりと説明があり、この作品は邦画だけど、アメリカ映画と同様主人公たちは追い詰められていくシチュエーションとして機能させている。

 

 で、中盤あたりでレイテ沖海戦におけるいわゆる「栗田ターン」が出て来るんだけど、当時の人たちはこれを「逃げた」「小心者」と批判されているが、今作においては残った者の命を守るための行為に見えるんですよ。

 

 ここが恐ろしいのは、時代によってこの行為がよきことにも怯懦(臆病)にも解釈されてしまうところだったりする。後世の人から見れば命を守る行動に写るのだけれど、当時の人にはかなり許容出来ない行為な訳だ。

 

 反転しようがしまいが、実は大勢にはまったく影響が無くて、「あの時ああしておけば」みたいなことはまったく意味が無い。日本が戦争に突入してしまった時点で先の大戦は敗けが確定していて、実は当時シミュレーションも行われているんですよ。「総力戦研究所」という組織によって現実の世界でどういう展開になるのか、正確に予測されていた。

 

 ここで、日本人の弱点である「空気に抗えない」が出て来る。山本七平の「『空気』の研究」にもある様に、日本人は意思決定の場において多数を占めると、同調圧力に抗えなかったりする。そこに、理論理性による合理的判断(要するに損得勘定)が加わり、戦争に反対することが出来なくなった結果、敗けが確定している戦争に「突入してしまった」のが真相と言うしかなかったりします。良くも悪くもこれが日本人の特徴であり弱点。

 

 完全に本作の内容と話が脱線しましたが、本作に話を戻すと、この話のゴールは「この戦争を生き抜くこと」だったりする。でも、それはあくまでも令和の日本人視点でしかないのでとても白々しいというか、「後出しじゃんけん」でしかなかったりする。後の世の人が言えることばっかり出て来て、そういうのやめようよとしか言いようがないといいましょうか。

 

 最後のシーンもわざとらしくて、生き残った雪風の乗組員達が画面のこちら側、要するに観客たちに向かって「ずっと見ているぞ~」と、いわゆる「第四の壁」を破るメタセリフを「言わせている」ところなんかもうサブいぼがゾゾゾと湧いてきて、とどめとばかりにエンディングテーマ「手紙(曲名がさぁ…)」が流れて来るところで、ダメな意味で「お腹いっぱい」でした。以下、リアリティに欠ける本作の描写を列挙します。

  • 鉄拳制裁による体罰が無い
  • あまりにも現代的な、「命を最優先する価値観」
  • 髪形がおかしい、丸坊主がデフォルトでしょうそこは!
  • ゴア描写がヌルい!早瀬先任伍長が射殺されるシーンはもっと惨たらしくするべき!
  • セリフ回し、敬礼の仕方等の所作がおかしい!

等々、挙げだしたらキリが無いほどツッコミどころは満載で、登場人物が真面目な顔で演技すればするほど本作の薄っぺらさが浮き彫りになるという皮肉な構造になってしまっている。

 

 それとさ、後日談みたい1970年の大阪万博を写して、「日本は平和になりました」って描写をするんだけど、大阪万博の「太陽の塔」って「中身は空洞」なんですよね。この中身が空洞というのが非常に象徴的になっていて、高度経済成長期真っただ中だけど、この年に三島由紀夫は割腹自殺していたりする。日本がこれから先どうなっていくのか、彼は頭がいいから分かっていて、そして彼はそれを見るのが耐えがたいから自ら命を絶ったという側面は否定できないと思います。今の世の中を見れば。

 

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【望郷太郎14巻感想】ヒューマ編突入!ブシフジュニア登場と船上乗っ取りの熱い展開をネタバレ考察

 ※注意!この記事はネタバレを多いに含みます!

 

 かなりいい歳こいたおっさんが、冷凍睡眠して500年後の氷河期に突入した地球で甦る、ある種「異世界転生」みたいな本作。

今回はチャッピー君に仕事してもらいました。

 目覚めた主人公の太郎は、一度自害して果てようとしたところを思い直し、イラクの港湾都市バスラから日本へと旅することを決意する。その過程で、太郎と途中で旅の仲間になる、「高貴なる野蛮人」パルと一緒に人類文明が発展するダイジェストを読者に疑似体験させるというのが本作のキモ。

 

 前の巻で医師の経験があるリコを伴い、旅の最終目的地である九州まで出発するところで終わりました。

 

 で、陸路は前の村のエピソードでも紹介されているように、基本旅人には警戒されるし最悪弓で射殺されそうになる危険もあるのでヨットによるう海路で旅している太郎一行。

 

 ここでパルが船酔いするシーンがあって、あのマチズモの化身みたいなあいつが?みたいな感じになります。太郎の思惑としては、旅する途中でヒューマの船を見つけ、そこに交渉して乗り込み、一気にヒューマへと到着しようという算段。

 

 が、そこにマリョウ編で殺してしまったブシフの息子ブシフジュニア(安直なネーミング)が船に乗っているからさあ大変!みたいな展開になります。彼はヒューマでは「二級国民」扱いされ、コーヒーに入れる砂糖の量まで制限されていて、ヒューマが格差社会になっていることが示される。さらに、ヒューマの中心部へ近づくに連れ、ヒューマ国の連中が持っている武装が我々現代人レベルまで到達している。なにせスタンガン(感電防止のゴムスーツまで着用している!)はおろかなんとAK47(カラシニコフ)まで所有している!

 

 ヒューマの船(電機駆動)になんとか乗り込むんだけど、交渉材料を旅の途中で失ってしまい、紙のマー(この世界の通貨)の発行権の証書を盾にして交渉というか、ほとんど口車みたいに丸め込んで相手を納得させてしまうところも、現代人である太郎の、暴力だけではない「知力」を巧みに使い、それが通用するのも現代に近づいているから。

 

 はぐれたパルも船に着き、女医の機転もあり太郎達は船の乗っ取りに成功する。ここの展開だけど、登場人物が全員必死でそれ故物語の推進力も上がるし、今巻でのスペクタクルな部分です。山田芳裕先生がキャラクターに汗をかかせる時って、本当に脱水症状起こすのではないかという量の汗を流させるんですよね。

 

 私がご都合主義的な展開が増えたのでは?と思った箇所があって、それはマリョウ編で退場したハッタがなんと再登場するところなんですよ!

 

 まあ、彼が言うにはマリョウは善意の思考停止をした国母プリがすべてを取り仕切り、ありとあらゆるものを国営化。売春も賭博も禁止したので、「心に遊びがなくなった」からハッタはマリョウを出国せざるを得なくなった。彼は、人の営みにおける「享楽」の代弁者みたいな存在だから仕方がないんだけど、それにくわえて石油王のロックがマリョウから分裂して独立国「コール」を築き、通貨もマーではなく油を担保とした「ロック(自分の名前を通貨に!)」なるものを設ける。そしてマリョウとは一線を引くみたいになる。分断の始まりですね。

 

 ハッタはそちらにも行きたくないので、太郎の後を追い、ついに追いついた次第。ここらへんちょっと「教科書通り」みたいなテイストがしなくもない。

 

 で、ヒューマへなんと今度は「蒸気機関車」で行くことになる。どうもヒューマのエネルギー源は電気と石炭みたいだけど、電気は貴重らしいとか、無線が使えるとか、セラミックまであったり、いったい中心部に着いたらどういうことになっているのだろうという興味ががぜん沸いて来る。この、「ヒューマっていったいどういう国なんだろう?」という疑問がもうひとつこの作品の推進力となっている。

 

 次巻へのヒキだけど、いままで何回か登場して来た「巨大パンダ」や「巨大ヘラジカ」に加えて、脚だけしか見えないけど猪っぽい何かがブシフジュニアを踏み殺したところで終わる。

 

 私の予想だけど、単行本派なのですが、あと2巻くらいで完結するのではないかというか、完結して欲しいなと思ったり。金と暴力の陰惨さは、マリョウ編で象徴させていると思っているので、後はその先をどう描いてくれるのかだと思っています。

 

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