評判は聞いていたけど、見るのを躊躇するタイプの作品。今回覚悟を決めて見ました。
普通の映画は、フィクションだからそこに教訓や寓意を持たせたりしますけど、この映画はドキュメンタリーなので、世界の残酷さをダイレクトに叩きつけてきます。
内容は、父と母、姉とこの映画の監督である藤野知明さん家族の数十年に渡る記録。姉が統合失調症になり、それを認めたくない両親は姉を約20年の長きにわたり家に閉じ込める。
それをなんとかしようとして、知明さんはビデオカメラで撮影し、姉を精神科に通わせようとするだけれど、娘が精神を病んだことを認めたくない両親が行かせない。おそらく「私たちの娘がまさかそんなことはない」と、頑なさというか、世間体もあって(両親は研究者)、治療が遅れる。
冒頭に誰かを断罪する為に作った映画ではないと、監督の断り書きがあるので、そういう映画では無く、煩悶の映画。その煩悶は両親と監督、そしてこの家族の数十年の営みを目撃してしまった観客も共有することになる。まさに映画のタイトル通りに。
私は「毒家族」の元に生まれて来てしまった虐待サバイバーだと自身を定義することで今こうして生き延びているので、この愛のある家族が壊れていくのは大変気の毒ではある。私は家族が死んでも臨終にも立ち会わないし、葬式にも決して行きません。