ヴィム・ヴェンダース作品はお初。
一人の男の繰り返される日常を淡々と綴る。男(役所広司演じる「平山」)はトイレ掃除を生業とする、いわゆる「ワーキングプア」。彼はあまりテクノロジーに頼らず、音楽はカセットテープで聴き、自然をアナログのカメラで撮影する。
「男が淡々とした日常を送る」点を抜き出すと、ジム・ジャームッシュの「パターソン」を連想する方もいるでしょうね。カセットテープは彼の「生きて来た記憶」、アナログカメラで写真を撮るという行為は「生きて来た記録」、何度も映し出される東京スカイツリーは「神の視点」、陽光や木々のざわめきは「自然からの贈与」なのは分かる。
でもね、この映画はっきり言って非常に不快だ。「なんちゃってワーキングプア描写」がすごく鼻につく。以下、どれだけ作中の貧乏描写がなってないかを列挙する。
・今の日本で自動販売機でコーヒーを飲むのが、いかに贅沢な行為であるのかがわかってない。
・コンビニのサンドイッチでお昼取ったりしません。コスパ最悪ですよあれは!
・コンロがカセットガスじゃない!
・銭湯一回いくらすると思ってんの?公開当時でも500円近いよ!
・コインランドリーで洗濯も駄目!中古の洗濯機買って節約するよ普通!
・酒場で酒を飲まないよ!ていうか飲めないよ!高いんだから!
・買い物袋持って無いのこの人?
・たとえ1冊100円でも、本は図書館で借りて読むよ!
特に私がイラッとしたのは、開始5分の自販機のシーン。あれで私はこの映画を嫌いになることを決めましたね。
スタッフを見たら、共同脚本に電通が絡んでいて、これが非常に嫌さを増している。
そして、この映画を仮に日本人が監督したらどうなっていたと思います?
たぶん炎上するでしょう。「貧乏なめてんじゃねーぞ」って。
「金持ちが上から目線で偉そうに作った感」が出ていて非常に不快。スノッブさすら感じる。公開当時そこらへんにツッコミがあったのはすごく健全だと思う。不快だもんこの作品。