スクリプトドクターの三宅隆太さんが、2024年の映画でベスト1としていた映画です。配信待ちしていたのでようやく視聴。
筋立てとしては、障害を抱える息子を持つシングルマザーの主人公クローディーヌは、毎週火曜山逢のホテルで一夜限りの関係を続けていた。そしてある日、ひとりの男と関係を持つけど、いつもと違う展開に…といったところ。
三宅隆太さんが推すということは、脚本が優れているのだろうと思うので、この作品がどう優れているのか考えたのだけれどちょっとわかりにくかったです。
クローディーヌの夫は出て行ったらしく、その原因はおそらく障害を抱えた息子にあると思う。障害を抱えた子供を持つ親は、たいてい父親がそこから目を背けたりするんだけど(「こちらあみ子」の糞オヤジとかね)、彼女は息子をずっと介護しながらひとりで育てて来た。
だから、彼女が毎週火曜に一夜限りの関係を求めるのは理解できる。あれが彼女にとってのストレス発散方法なのだろうと。
そして自分の家宛に出て行った父親を装った郵便を送り、父親は出張だと偽る。息子が父親に捨てられたことに感づき、ショックを受けてしまうのを気にしているから。
で、そこに水力発電の技師である男と出会ってしまったことで彼女のある種止まっていた人生が動き出す。ちなみに、彼女がホテルに行く途中にはダムがあり、これは彼女の鬱屈のメタファーだとは思う。
アルゼンチンへ一緒に行かないかと誘う男に対して、彼女も同意し、息子は福祉施設へ預ける。福祉に頼るのは何も悪いことではないし、今まで頼らなかったのが不思議なくらいだと思う。
で、男だけど、彼は出張が多く各地を転々としている。そう、クローディーヌが偽りの手紙で設定している夫そのものみたいな奴な訳だ。
男に何か問題があるわけでは無いし、福祉施設もいい感じで後顧の憂いは無い様にはた目には感じられる。
そしてアルゼンチン行きのバスに乗り込もうとした時に、彼女は過呼吸に陥り男と行くのをやめる。
何故か?男の私には結局完全に理解できないんでしょうけど、おそらく彼女の生きて来た土地の記憶が彼女を縛り付けているのだと思う。「ここではないどこかへ行こうとすると、引きずり戻される」といったところでしょうか。
上映時間は短く、1時間半しかないですが、フランス映画らしい落ち着いた静かな作品でしたね。
