【ネタバレあり】『28年後… 白骨の神殿』感想・評価|レイフ・ファインズ怪演が支える三部作第2章

 ※本記事はネタバレを含みます!

 

 午後のロードショーで今まで3回も放送されているエンタメ作品「デンジャラス・ラン」を見たら、映画を見る気力が回復して来たので、劇場で公開されて間もない「28年後... 白骨の神殿」を見に行きました。

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前作までのあらすじ

 今作は「28年後…」三部作の第2部なので、第一部を見ないと何が何やらわからない作りになっています。間を開けずに第二作目を上映するのは、時間が経過して「この話どんなだっけ?」って忘れないうちに完結させてしまおうという意図を感じますね。

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 一応前作までのあらすじを説明すると、12歳の少年スパイク(アルフィー・ウィリアムズ)が、病気の母親を助けるために不仲になった父親の元から出奔し、異常者とみなされていた医者のケルソン(レイフ・ファインズ)に会う。だがケルソンは異常者ではなく、死者を丁寧に埋葬し、この物語の元凶である「レイジウイルス(間に感染すると数秒で脳を侵し、理性を失わせ凶暴性を増幅させる致死性のウイルス)」をなんとか治療できないかと孤軍奮闘していたことも明かされる。

 

 母親の病は治らないので、止むを得ず安楽死させ、ケルソンが築いている「白骨の神殿」に祭られる。一人で旅を続け、窮地に陥ったスパイクを助けたのは、第一作冒頭のシーンで過酷な少年時代が描かれていた、本作のヴィランであるジミー・クリスタル卿(ジャック・オコンネル)とその配下の「ジミーズ」だった!

 

「28年後… 白骨の神殿」のあらすじ、「ジミーズ」と「ケルソン&サムソン」の交流

 で、ここからが本作のあらすじなんだけど、前作の最後からどうなったかから始まる。「子供は立ち入り禁止」の注意書きが表示されるように、本作はR15+なんだけど、そこからすぐにジミーズに囲まれる怯えたスパイクが加入儀礼みたいに不可抗力で殺人をせざるを得ないシーンになる。なんとまあ意地の悪い描写だ。

 

 ここでジミーと彼の率いる「フィンガーズ」の説明がされ、まあポストアポカリプス世界ではよくあるカルト集団のミニチュア版みたいな連中であることがわかる。ジミーは幼少期のトラウマの為にこのカルト集団にリーダーをやっている。

 

 で、今度は何故か前作の医者ケルソンの話が始まる。ここで予想外の話が展開されるんですけど、それはなんと「アルファ」という、レイジウイルス感染者の中でも特に要注意な、非常に力の強い人の頭部を掴んで脊髄ごと引きずり出す膂力を発揮する種類の感染者で、ケルソンが「サムソン」という名前を付けたキャラクターとケルソンが交流するんですよ!

 

 美しい大自然を背景に、全裸の大男と全身ヨード油まみれの男がコミュニケーションを取ろうとしている光景って、「私はいったい何を見せられているんだろう」と、半笑いせざるを得ない様なシュールな展開。ですが、このサムソンというキャラクターがこの物語を終結に導いてくれるキーパーソンみたいになる。彼、正気を取り戻すんですよケルソンによって!

 

4つの話が2つに分かれている脚本

 ここまで書いて来て、本作は4つのキャラクターの話があって、それが2つに分かれている。

 ・ジミーと、彼の率いるカルト集団によって名前を奪われたスパイクの話。

 ・感染者の治療を目指すケルソンと、ケルソンによって正気を取り戻していくサムソンの話。

 この2つに分かれた話が後半になって一つになる。なんで一つになるのかというと、ジミーがでっち上げたカルト教団には「覇王」という存在がいるという設定で、その覇王がケルソンであるとジミーズの一人が「発見」してしまったことで2つの集団は邂逅する。

ケルソン先生のはっちゃけたライブ

 自分の作った「フィクション」がバレるとジミーズに殺されてしまうので、ジミーはケルソンに会い、脅して覇王の振りをするように強要する。しぶしぶ従うケルソンなんだけど、ここが終盤でケルソンはなんとアイアンメイデンの「The Number Of The Beast」というレコードをこっそりとかけ(何故あんたが持っている!)、ノリノリで「覇王」を演じ切るんですけど、ここらへんモロにコメディにしか見えないし、レイフ・ファインズの演技が上手すぎて完全に第二作の主役としか思えない。他の役者は嫉妬したんじゃないかな?

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 ↓アルバムジャケットはこんな感じだ!

Number of the Beast

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 覇王役を無事に演じ切り、なんとかやり過ごせそうかと思いきや、ジミーズの中にスパイクを見つけてしまったので、彼をなんとか救おうとしたケルソンは結局ジミーに殺されてしまう(運命は避けられないので受け入れるしかない)。が、ここで「殻を破った」スパイクが、今度は自らの意思ではっきりとジミーに殺意を込めた刃を突き立て名前を取り戻す。ここで気づいたことは、死者を埋葬するうちにある種宗教的な心持になったケルソンに対して、幼少期に受けた恐怖をなんとか手当しようとしてエセ宗教を立ち上げたジミーが対比されているのがわかる。

 

 因果応報をモロに受け、逆さに杭打ちに張り付けられ、見捨てられるジミー。そこに、正気を取り戻したサムソンが、ケルソンを見取りに来る際にジミーにはサムソンが本当の覇王に見え、やはりサムソンにも見捨てられ彼もまた物語から退場する。

「三部作最終作への上手い引き」

 そしてラスト、なんとこの「28…」シリーズの第一作目「28日後…」の主人公「ジム(キリアン・マーフィー)」出演したところで第二作は終わる。上手い引きではある。

 

 まあ総評というか、シナリオは散漫な感じがします。2つのグループと4つのキャラクターの話を描いた為にそうなったんだけど、監督がダニー・ボイルからあまり評判のよくない「マーベルズ」のニア・ダコスタに代わってしまったことも関係しているのかわかりませんが、完全に「一見さんお断り」な展開が気になるし、現実世界に対する批評性も弱いかなとは感じました。レイフ・ファインズ頼みで作品を成立させてもいますしね。

 

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