※この記事はネタバレありです!
「マノスフィア」という、SNSに存在する、男性優位を主張するある界隈の代表的な人物達に、ルイ・セローというドキュメンタリー作家がインタビューするという内容。

登場人物紹介
登場するマノスフィアインフルエンサーは以下のとおり。
- ハリソン・サリヴァン (別名HS Tikky Tokky)
- マイロン・ゲインズ、ニコラス・ケン・デ・バリンタジー (別名Sneako)
- ジャスティン・ウォーラー
- エド・マシューズ
彼らに共通するのは、男性の権利は脅かされていて、我々はそれに立ち向かわなくてはならないとか、やたらに筋肉をつけて容姿にこだわりを見せ、どれくらいお金を持ち稼いでいるかの自慢、同性愛嫌悪(ホモフォビア)、いい車といい女(容姿がいい)を侍らせて自身の「男らしさ」をアピールしてネットに拡散する。
あまりにも類型的というか、テンプレみたいな人物造形であきれるんですよね。そして、はべらせている(と自分では思っている)女性に「俺のどこかいい?」と聞くと女性は「お金!」と答える。ここで分かるのは、両者とも相手を「モノ」としか見ず、取り換え可能な存在でしかないところ。あまりにも空疎で中身が無い。
さらに共通点をセローは掘り下げる。彼らは幼少時父親が不在だったり親から暴力を受けていたのがわかる。その経験が元になって、ロールモデルが近くにいなかったこととネットにアクセスしたこと(エコーチェンバーとフィルターバブル)が合わさり、彼らと同じ価値観を持つ男たちが「マノスフィア」という「繭」の中に閉じこもっている。
本質は弱々しい子供
現実世界でも、最初に書いた様に彼らは鍛えられた肉体やお金、男らしい言動によって鎧をまとうことで自分を保っているのが非常に弱々しい子供にしか見えない。
ドキュメンタリーの終盤にかなり決定的なシーンが、セローの思惑を超えて出て来るんだけど、それは母親との関係性。彼ら、母親にまったく頭が上がらないんですよね。ここらへんを見ても本当に体だけ大きくなって劣化した子供でしかない。
彼らが悪影響を与えた結果
そして、彼らみたいなマノスフィア界隈にアクセスしてしまったが為に、凶行におよんだ13歳の少年を描いたドラマが、あのエミー賞8部門を受賞した「アドレセンス」な訳で。
ソーシャルネットワークは我々を幸せにしたか?
今の若い世代の人達からしたら、おそらく失笑してしまうのかも知れませんけど、インターネットが最初登場した時には、私も含めて「これで我々は解放される!」って歓喜したりしたんですよね。
でも、便利にはなったけど結局世界に厄介なものがまた増えただけだった。安心・安全・快適・便利を追い求めた結果、どんどんシステムに取り込まれ、その外側に出られないどころか外側があることも分からなくなっている。
マノスフィアの連中は、やたらに陰謀論を振りかざして「システムに立ち向かえ!」みたいにアジるんだけど、彼らこそがシステムに取り込まれ、その悪影響をネットで拡散している。
リベラリズムの「成功による失敗」
この動き自体は、文化闘争にかかずらって、本来の目的を見失ったリベラリズムが、マノスフィア界隈にいる様な人達を無視した結果、バックラッシュが起きたのが原因。だからマノスフィア界隈は、「自分たちを見てくれている独裁者」であるドナルド・トランプの様なポピュリストに接近したがる。
ここらへんは現在のアメリカ合衆国副大統領J・D・ヴァンスに影響を与えたパトリック・J・デニーン著「リベラリズムは何故失敗したのか」に詳しい。
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