※この記事はネタバレありです!
ゴールデンウィーク最終日ということで、「休日の終わり」をテーマとした映画の感想を書きました。古典も古典の映画「ローマの休日」です。
監督:ウィリアム・ワイラー
脚本:ダルトン・トランボ
主演:グレゴリー・ペック、オードリー・ヘップバーン

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- 大まかな内容と登場人物紹介
- 物語当初、少々問題のある主人公ジョー
- 髪を切るシーンに象徴される、アン王女の変容と解放
- とても短く濃密なロマンス描写
- 外れるジョーの思惑と、人間性への信頼に根差した終盤
- アン王女の「行きて帰りし物語」
大まかな内容と登場人物紹介
大まかな内容としては、オードリー・ヘップバーン演じるアン王女が、自分の王女と言う役割(スケジュールでガチガチに縛られ、決まりきったことばかりやらされる)にストレスを感じたので、ちょっとだけそこから抜け出すところから物語は始まる。
そして、アメリカン人記者のグレゴリー・ペック演じるジョー・ブラッドレーと出会う。当初ジョーはアン王女を利用して特ダネをものにしようとする。
物語当初、少々問題のある主人公ジョー
このジョーだけど、アメリカ映画の主人公造形においては当初「共感出来ないタイプ」で、賭け事をして金を失っているし、支局長のヘネシー(ハートリー・パワー)からも借金をしているわ家賃を滞納するわでかなり問題のあるキャラクター造形になっている。
まあこういう造形にしないと主人公は困った状況に置かれ無いので、物語の推進力を上げるためなんだけど、そこにアン王女というとびっきりの大ネタが飛び込んで来たので、彼は「殻を破る」つまり「自分はこのままではお金で身を持ち崩してしまうかも知れない」という思い込みを破る。
そして「反転攻勢」ここではその思い込みを破るために、王女と一緒に写っている写真を知り合いのカメラマンであるアーヴィング・ラドビッチ(エディ・アルバート)にこっそりと撮影させる。こうしてテキストに起こしてみると、かなりどうしようもないキャラクター造形になっている。
髪を切るシーンに象徴される、アン王女の変容と解放
話をアン王女に移すと、彼女は当初、窮屈な女王の役割にかなりストレスを感じていて、「もうこんなの嫌だー!」みたいに暴れるが、周りの人に「リラックスする注射(睡眠薬?)」を注射されおとなしくさせられそうになっている。ミルクとクラッカーだけど、これは子供っぽさや正しいもの(健康にいい)ものを象徴させている。
大使館を抜け出し、ジョーと出会い、そこから彼女は王女の時には許されなかったか出来なかったことをやっていく。まずパジャマを着て、アイスを食べタバコを吸いお酒を飲む。最も象徴的な描写は美容院で髪をショートにする箇所。ここは以前の自分と違う存在になることと、王女とは知らずに人にその容姿を褒められることで自分自身に対する認識が変容する。
そして有名な「真実の口」のシーンで、彼女は身分を偽っているので口の中に手を突っ込めない。自分が嘘をついていることを自覚するのは、少女ではなく大人になる過程でもある。
とても短く濃密なロマンス描写
ジョーとアンは昼間にヴェスパで疾走(途中からアンがハンドルを握るのも重要)し、船上でのダンスを経て口づけを交わします。すごく展開が早く見えますけど、これほどの短い時間の交流だからこそ、特にアンにとっては生涯忘れられない濃密な体験になる。
外れるジョーの思惑と、人間性への信頼に根差した終盤
話をジョーに戻すと、彼の「特ダネをものにする、できる」という思惑は外れる。アンに対して真剣な想いを持ってしまったが故に彼はこの体験を記事にせず、カメラマンのアーヴィングも最終的には写真をこっそりプレゼントとしてアンに渡す。ここらへんの「人間性に対する信頼」の描写だけど、映画公開が1953年で、第二次世界大戦後の復興期であることも関係している思いましたね。この当時は世界がどんどん良くなっている機運がありましたでしょうし。
アン王女の「行きて帰りし物語」
大使館に帰ってきたアンが、差し出されたミルクとクラッカーを拒否するシーンだけど、これは彼女が大人になった証拠。つまり「行きて帰りし物語」で、物語の始まりと終わりでは彼女は違う存在になっている。いったん王女の役割を捨てて、交通違反に象徴されるように「社会(システム)の外」に出て、王女と言う自分の立場に自覚的になり再帰した。タイトルにある「休日」の意味は、「モラトリアム(猶予期間)」な訳。
私の休日は終わって欲しくありませんが😅
ラスト、去っていったアン王女と取り残されたジョーという終わり方をするんだけど、全体としては明るいトーンだし、なにより上品な雰囲気をまとっていましたね。くれぐれも「もしアン王女がとんでもない奴に見つかっていたら」なんて考えるのは野暮と言うもんです。
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